寂しい感じ

私は子供の頃から、寂しさを感じにくかったようです。

保育園時代からの、祖母宅へのお泊まりは何よりも楽しみだったし、

初めて親なしで旅行したのは10歳の時、新幹線で東京の親戚の家に行った時でした。

子供が寂しさを感じるのは「親と離れる」ことを意味しています。

それがなかった、もう、本当に清々しいほどに。

それは年を重ねるごとに顕著になりました。

まぁそれが煮詰まった結果、パスポートも持ったことがない親と離れることを最大の理由に海を越えてカナダにたどり着いた、とも言えます。

そう、カナダに来た(カナダじゃなくても日本以外ならどこでも候補地だった)最大の理由は、彼らと離れられることにありました。

私の意志で会うかどうか決められる距離が、私にとって心地よかったわけです。

反抗期と片付けるには、どうにも年季が入りすぎているな、とつくづく思っていましたが。

カナダでどう生き延びていくかの方法を探ることは常に頭の中にありました。

ここで生き延びなければ、どこにもいく場所はない、と思っているからでした。

 

私の親はそんなに危険人物だったかと言うと、思い返してもそんなこと正直ありません。

傍目に見ても、親としての務めを果たそうとした、頑張っていた親だと思います。

なので離れる決断をしたこと、そばにいたくない自分の気持ちに罪悪感を覚えることが多々あります。

カナダにいると、日本に帰っていないこと、家族に会えなくて寂しいでしょう?と言われます。

北米社会の文化なのか、季節の折り目に家族で集まり、電話でも近況を話すことは日常のようです。

そうね、でも今は仕方のない時期だから、と当たり障りのない返事をしています、大人なので(笑)。

でも、正直今でも「家族だから」というセリフに寒気を覚える身としては、そこに寂しさは皆無です。

* 「家族だから」の後には必ず自己犠牲を強いる雰囲気だけが私の中にはあります。何かを強いる時の相手を断らせない都合のいい言葉にしか聞こえない。

電話は、用事のある時、年に数回程度です。

 

そんな私がなんと、まぁ、初めて寂しさを感じている時が今です。

その理由は、なんと4日間の夫の出張のせい!

たった4日!

もちろん、今の体調が万全ではない、犬と猫も何かあったらどうしよう、とか色々と理由はありますが。

出張の日が近づくにつれて、なんとも言えない気持ちが湧き上がってきて、本当に戸惑いました。

なんなのこれ?と笑うしかない。

これが寂しいということ?

今もマイペースに続けているカウンセリングで、担当カウンセラーに最近言われていたことがありました。

「あなたは親のそばでは安心がなかった。だから非常に自立した人生を送っていた。でも、夫の側では安心感があるようですね」と。

 

何事も表裏一体だと言いますけど、39年以上生きてても、まだまだ新しい発見があるようです…。