ある日、ふと左胸に感じた違和感。
注意深く触ってみると、しこりのようでした。
これはいかん、ということで、近くの病院に駆け込みました。
加奈陀の医療制度は日本とは違います。
まずはかかりつけ医、もしくは「ウォークインクリニック」というところに行き診察してもらってから、必要な場合専門医を紹介されていく、という流れです。
保険証ですが、州ごとに発行されている「州民健康医療保険カード」的なものがあります。
一部を除いて診察・施術は支払いの必要がありません(正式には税金から支払われています)。
私は引っ越してきたばかりですのでかかりつけ医もおらず、一番近所のウォークインクリニックに駆け込みました。
夫(加奈陀人 風邪を引いたところをみたのは1度だけ)も心配で、一緒に同行してきたことに感動しながら(笑)待つこと2時間。
長いわっ!
無駄に待合室でストレッチ等始める夫婦。
それも一通り終わり、犬のトイレ事情が心配になってきた頃(外に連れて行く時間が迫ってきていた)、ようやく呼ばれて診察室へ。
若い印度系の女性医師による診察でした。
ごめんなさい、先生の名前(フルネーム)、絶対正確に発音出来ません…。
という長い名前の先生による問診、触診を終えて、超音波検査を勧められました。
「確かにしこりがあるけれど、悪いようには見えないわ。検査ではっきりさせましょう。もし何も異常がなければそれでいいんだしね」
と、言うわけで、病院での診察から3日後、今度は別の場所にあるセンターへ検査にいき、初めての超音波検査。
こちらは予約できたのでほぼ待たされることなく終わりました。
どちらの診察もお会計の必要なし。
終わったら、帰れることに違和感を覚えつつ、検査結果を待ちます。
いえ、やっぱり心配で「帰っていいんですよね?」と聞いてしまいました。
一週間以内に結果は出るそうで、何かあれば電話するわ!(つまり何もなければ電話は来ないはず)と言われ。
そして今日の朝、鳴る電話。
「結果を医師が伝えたいというので、病院に来れますか?」
朝10時、すでに家のことも終わらせており、身支度も済んでいたので、即座に病院へ(徒歩五分)。
夫も「僕も行く」とついてくることに。
電話が来たということは…と二人で考えつつ、
待合室で早速ゲームをする夫。
おい。
さすが夫、緊張感が無い。
まぁ、わかる。
とっさに出てきたので本も持ってこなかった二人。
しかし、私自身、頭の中では色々と良くない考えが浮かんでは消え…。
そこで気付いた非常に明快な気持ち。
わたし、生きていきたい、だから不安なのである。
あら、やだ。
仕事が無い自分に対する身の置き場の無さ、不安。
色々あるけれども。
とりあえず予約した和菓子教室には絶対行って加奈陀でも練りきりを食べる!
という非常に目の前のことを考えつつ(直近の目標)。
トイレに行って気持ちを落ち着けていると、診察室へ呼ばれました。
同じ女医の方が相変わらずの可愛らしさで出迎えてくれます。
直前に夫は時間切れで、犬のために帰宅!
発音出来ない名前の女医の第一声。
「なにも心配いらないわ」
え…?
だって、なにかあったから連絡をくれたのでは?
「検査結果でわかったのは、乳腺線維腺腫(Fibroadenoma)か脂肪の塊だということね。癌ではないのよ」
な、なんですの?それ??
「良性の腫瘍とも言えるわ。とりあえず痛みがあったりするわけではないし、大きくなってきてもないようだから、半年経過を見ましょう。それでなにか異変があれば手術で取り出す場合もあるけれど。今の時点でなにも心配しないでね!」
結果を貰い、家につくと犬の●を処理している夫と遭遇。
「よかった?悪かった??」
夫が真剣な顔で聞いてくるので、悪くはない、恐らく大丈夫、と説明。
犬は暑さにうんざりした顔で家に入りたがっている。
日常の尊さを少しだけ理解した瞬間でした。